区民にもおなじみの意大阪府立農芸高校は、大阪府内に2校しかない農業専門高校の一つで、動物の学科を持つ高校は府内でここだけ。甲子園球場2.5個分、約9万平方メートルの広大な敷地で、600人の生徒たちが自然や動物と触れ合いながら学びを深めている。

食と自然に携わるプロを育てる

大阪府立農芸高校

ユニークな専門カリキュラム

普通の高校と異なるのは、どの学科も実習や研究などの実践が中心であること。生徒自身が「面白い!」と感じられるよう、時代に応じたカリキュラムを取り入れている。

ハイテク農芸科では、広い農場やハウス施設で、一粒の種から成長していく農業の不思議や感動を体験。時に額に汗を流し、時にバイオテクノロジーを駆使し、栽培から生産管理・収穫・販売までを学ぶ。育てる作物は草花・野菜・果樹・米など多彩。収穫したものを校外で販売するのも貴重な体験になるという。

食べることや作ることが好きな生徒があるまるのが食品加工科。パンやジャム、お菓子など、食品の加工・販売をはじめ、安全性の分析や食品流通などを学ぶ。店舗を借りてカフェ運営をしたり、高齢者福祉施設へ出向く出張カフェも開催。食品や外食産業、パティシエやブーランジェ、栄養士など、人の心と体を健康にする未来の人材を輩出している。

資源動物科は、動物の飼育管理や畜産物の加工に必要な知識・技術を習得する。校内には牛や豚だけでなく、ポニー、アルパカ、アイガモ、ウサギなどたくさんの動物が暮らす。

生徒たちは当番制で週末や長期休みにも飼育を行い、心から動物を愛する気持ちを育んでいる。動物ふれあい活動や、学校で育てたブランド豚「のうげいポーク」やブランド鷄「農芸鴨」を使った6次産業化にも積極的だ。

これらの専門学科に加えて、生徒全員が参加しているのが「農業クラブ」。日本学校農業クラブ連盟という全国規模の組織の一員であり、農芸高校では総合実習の一環として授業に取り入れている。

1年生の後期から各学科の専攻「農業クラブ」に所属。13のクラブに分かれて、放課後も意欲的に学びを深める。「目的を持って入学しているので意欲的な生徒が多いですね」と話すのは教頭の浦展諭先生。

生徒たちは卒業後、約7割が4年制大学や専門学校に進学。約3割は農業・食品関連企業やサービス業、公務員などに就職。実践的な学びを経て、農や食のさまざまな分野へと巣立っていく。

地域とのつながりを大切に

地域とのつながりを大切にしているのも特徴の一つ。近くの小学校での食育授業夜光貝での実演販売など、地域の人や企業との交流を通して生徒たちは発想力や想像力を養っている。

なかでも毎年11月に行われる農業祭は約2万人が訪れる地元の一大イベント。農業クラブごとにブースを出展し、野菜や果物、お花、加工品やお菓子など、心を込めて作った自然の恵みを販売。

生徒にとっては地域の人たちへの活動報告として貴重な場になっている。創立100周年を記念して正門横にできた100年の丘」では、動物生態展示という動物のありのままの姿を伝える新しい手法で、アルパカを中心にかわいい動物たちを定期的に展示。

地域の子どもや高齢者とふれあい、動物の魅力や愛する気持ちを伝えるのもまた勉強なのだ。こうして早い段階から大人と交流することが多いため、やりがいがある一方、自分たちの力不足を痛感する場面も多いのだとか。

「決して自己満足せず、自然や地域への感謝を大切に挑戦と反省を繰り返しながら、本当のスキルを身に付けてほしい」と浦先生。地元の誇りとして、地域全体で支えていきたい。

知る人ぞ知る!“6次化の農芸”

「6次産業化」とは、生産者(1次)が加工(2次)や流通・販売(3次)までを行う試み。農芸高校が地域や企業と連携した取り組みは全国的に有名で、「6次化の農芸と呼ばれるほど。地域活性化に貢献するため、校内で育てた農畜産物や地域の果物などを加工・販売。生徒たちのアイディアがぎゅっと詰まっている。


農芸ポークカレー(甘口)500円

大阪産(モン)に認定されたブランド豚肉「のうげいポーク」のレトルトシリーズ第2弾。地元企業との共同開発で校内で育てた豚肉・人参・じゃがいも・イチジクを贅沢に使用。高島屋泉北店で購入可。

ブルーベリージャム400円
イチゴジャム500円

食品加工科の生徒が季節の果物で作るジャムは、農芸祭で購入できる人気商品。堺市や河内長野市の生産者の畑を生徒が訪ね、収穫から加工まですべてを行っている。


https://osaka-nougei.ed.jp/

大阪府立農芸高等学校

大正6年(1917)4月28日創立。これまで約13,000人以上の卒業生を輩出し、一貫して農業高校として、実践的なカリキュラムを展開している。平成30年(2018)には、文部科学省が認定する「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」指定校に採択。第一線で活躍できる専門的職業人を育成する専門高校として注目されている。